我が子へのマナー第11回

機能不全家族になるのを「防ぐ情報」がほぼない・・・

機能不全家族で育った人は、子育てに苦労する方が多いですよね。

そして、みずからの家庭が機能不全家族になってしまう方が少なくありません。

本人にとっては、絶対に避けたかった不本意な結果であるため、とても苦しい思いをすることになります。

世間には、機能不全家族である父母や兄弟姉妹から離れるための情報はたくさんあります。

しかしなぜか、自分が親として機能不全家族を防ぐための情報がないのです。

機能不全家族は、連鎖すると言われているにもかかわらず・・・。

とても不思議なことです。

私自身、機能不全家族で育ちました。

そして、親になり、機能不全家族となるのを防ぐための方法が少ないことに、愕然としました。

そのため、自分自身で工夫し、実践をくり返してきました。

そしてその結果を、カウンセリングのご相談者様にもご提供し、効果的なノウハウを貯めてきました。

そこで、このコラムでは、機能不全家族を防ぐための具体的な方法をご紹介していきたいと思います。

機能不全家族とは?(おさらい)

いがみ合う男女の写真

機能不全家族とは、家の中が常に「緊張状態」になっている家庭のこと。

ピーンと張りつめ、ストレスにあふれているの日常になっている家族の状態のことです。

機能不全家族にはさまざまな特徴があります。

主に、子供への過干渉や、日常的な暴力や暴言。

感情を押さえつけるなどの心理的な虐待。

育児放棄、学歴至上主義による過度の勉強の強制。

親が子供に依存し、子供もそれに応えようとする親子の役割逆転。

兄弟姉妹や友人と常に比較される状態などがあげられます。

アダルトチルドレンだと自覚している方は、子供のころに「機能不全家族」で育ちました。

その影響で、極度に失敗を恐れたり、人間関係の距離が取れずトラブルばかり起こしたり、すぐに人に迎合するといった、苦しい人生を送ることになります。

必ずしも、アダルトチルドレンの苦しみがの原因がすべて「機能不全家族」にあるとは言い切れないでしょう。

しかし、大きな要因の一つになっていることはたしかだと思います。

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ごく一般的な「機能不全家族」を防ぐ方法

まずは、セオリーどおりの「機能不全家族」を防ぐ方法を、一緒に共有していきましょう。

内容を見て「そんなの当たり前だろ!」と突っ込み入れたくなるかもしれません(笑)

それくらい「正論」です。

ただ、まずは土台として、正論をしっかり抑えておくことも大切ですので、少々お付き合いください。

1.親子のコミュニケーションを大切にする

コミュニケーションは、家族の間で信頼関係を築くために不可欠ですよね。

機能不全家族では、このコミュニケーションが親から子への一方通行である場合が多いです。

それでも、親の側は「我が家はコミュニケーションを取れている」と勘違いしているケースがよく見られます。

ですので、基本に立ち返って、

「自分の家庭は、家族の悩みや問題を話し合うことができているか?」

「家族全員が意見を述べられるように相手を尊重しているか?」

とチェックすることが大切です。

2.風とおしのいい環境を作ること

子供たちが安心して育つためには、自分の意見や感情を素直に表現できる、風通しのいい環境が必要ですよね。

安心して自己表現できることで、子供は自信を持ち、健全に成長することができます。

家族で意見や感情を共有できる、共通する趣味を見つけることも、風通しのいい家庭をつくるために役立つでしょう。

3.親が自省をくり返す

親は、子の前に立つと、自分のことをすっかり棚にあげて、子の欠点ばかりを指摘しがちです。

親もしっかり自省をしつづけることが重要です。

とくに、自分自身の弱点を認め、必要であれば謝り、子供にも敬意をもって接することが大切でしょう。

いかがでしょうか?

あまりに当たり前のことではありますが、「機能不全家族」で育ったアダルトチルドレンにとっては、なかなかハードルの高い「正論」だったのではないでしょうか。

機能不全家族を防ぐ5つの質問

気づきを得た女性の画像

ごく一般的な「正論」は大切ですが、意外と取り組もうと思うと難しいものですよね。

ましてや、コミュニケーションが苦手で、風通しの悪い家庭で育ち、まったく反省しない親を見て育ったアダルトチルドレンには、カミワザに思えたかもしれません。

そこで「機能不全家族を防ぐ5つの質問」をご紹介します。

これは、私自身の経験と、カウンセリングのご相談者様とのあいだ自然と見出された質問です。

この質問に自分で答えていくことで、家庭の風通しをよくし、親子のコミュニケーションを良好にする具体策が見えてきます。

そして、みずからを反省することもできるんです。

その質問とは、次の5つです。

1.子供にとって、どんなときに親を「頼りになる存在だ」と感じて欲しいですか?

2.子供が自分の思っていることを安心して話せるようになるために、どんなことができますか?

3.子供が自分自身を自由に表現できるようになるためには、どんなことができますか?

4.子供が自分の感情を素直に出しやすくするために、どんな環境を整えることができますか?

5.子供が自信を持てる環境を作るためには、どんなことが大切だと思いますか?

以上です。

「う~ん、どれも似たような質問だな」と思いましたか?

そう、そこがミソなんです。

そんな微妙な違いを読み解きながら、細かく自分で考えることが、すごく重要なんです。

なので「正解」はありません。

こうして考えること自体が自省になり、そこから出た答えを実践することで、家庭の風通しをよくし、コミュニケーションしやすくする意識が高まっていきます。

ぜひ試してみてください。

ただ、いきなりまっさらの状態から取り組むとストレスかもしれません。

そこで、あくまでも参考の事例として、私の答えをご紹介したいと思います。

1.子供にとって、どんなときに親を「頼りになる存在だ」と感じて欲しいですか?

<しのぶの答え>

子供が深く悩んだときに、「私には私を大切にしてくる親がついている」と感じて無条件に自己肯定し、問題を自分で突破していくための「拠り所」だと感じて欲しい。

問題を解決するための、確固たる土台になってあげたい。

2.子供が自分の思っていることを安心して話せるようになるために、どんなことができますか?

<しのぶの答え>

子供が委縮せずに、自分の失敗も正直に私に話せるような雰囲気を家庭内でつくっていきたい。
そのためには、子供のいいところに目を向けるのはもちろんのこと、子供を注意するときも、怒ったり嫌みったらしい言い方をせずに、しっかり目を見てゆっくり話して聞かせられるようにしたい。

子供の話を真剣に聴く。

子供が話しているときは、目を見て、なにを言おうとしているのかを理解しようとする。

ネガティブな表現はできるだけ避け、批判するのではなくサポートすることを意識する。

子供が失敗したときは、自分の失敗談も話して、親も同じ道をとおったことを伝え、安心してもらう。

3.子供が自分自身を自由に表現できるようになるためには、どんなことができますか?

<しのぶの答え>

どんなことも、まず否定せずにじっくり話を聴く。

どうしても、親の理想像に子供を近づけたくなり、口を出しそうになるが、自分と子供は別人であることを常に意識することが大切。

ただ、他者を傷つけるような発想をした場合は、しっかり否定する必要がある。

4.子供が自分の感情を素直に出しやすくするために、どんな環境を整えることができますか?

<しのぶの答え>

どんな感情であっても、抑えつけず、いったんしっかり受け止めて、その場で解決しようとせず、子供が冷静になってから話すようにしたい。

そのためには、私自身が心に余裕を持つ必要がある。

睡眠をしっかりとって、仕事に没頭しすぎず、ストレッチやコーヒーを飲むなどのリラックスできる時間をしっかりとれるようにしたい。

家族での食事の時間を大切にして、家族全員での趣味やスポーツを通じて普段からコミュニケーションを深めておく。

5.子供が自信を持てる環境を作るためには、どんなことが大切だと思いますか?

<しのぶの答え>

褒めて育てるのが基本。

ただ、子供はみんな利口なので、こちらが褒めて自信をもたせようとしていることを察知する。

だから、褒めるというより、その子のやった結果をそのまま認めるということの方が大切。

子供のやりたいことや興味があることに対して、積極的に関心を示して、応援し、いい結果が出たらともによろこぶ。

結果だけではなく、努力したことそのものをたたえることが大切。

プロセスに焦点を当てることで、結果にとらわれず、自分の起こした行動自体に自信がもてるようになると思う。

あとは、本人が褒められようが褒められなかろうが、「自分はこれが好きだからやる」といってできるようにしてあげたい。

まとめ

草原を家族が仲良く行進する写真

いかがでしたでしょうか?

機能不全家族で育った人が、親の立場で機能不全家族を防ぐというのは、とてもたいへんなことですよね。

正直、私自身、苦労も多いです。

だからこそ、意志の力だけで強引に「正論」を守ろうとしても、ストレスがたまるだけ。

機能不全家族まっしぐらになりかねません。

ですので、常に自省しながら実践できるように、ぜひ上記の5つの質問を、ときおりくり返してみてください。

一人でやるよりも、じっさいに質問してくれる人がいる方が答えやすいです。

パートナーが協力してくれるなら、パートナーに頼んでみてください。

もし難しければ、chatGPTなど、対話型のAIと一緒に取り組んでみてください。

今、ビジネスに血眼になってAIを使って先行者利益を得ようとしている人があふれています。

でも、AIだってそんな使われ方ばかりではなく、一つの家庭を守り、心豊かにするパートナーとして使ってもらいたいと思ってるんじゃないでしょうか?

アダルトチルドレンの子育てを支える会
しのぶかつのり

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