「我が子へのマナー」第24回
誤解のないように、はじめに申し上げておきます。
私はあなたに、子育てで楽しい思いをたくさんしてほしい。
そして子育てをとおして、たくさん幸せを感じてほしい。
あなたと同じアダルトチルドレンとして、心からそう願います。
ただ・・・。
「楽しい子育て」「ハッピー育児ライフ」を目指すと、とても苦しくなる。
アダルトチルドレンは、どうしても子育てがよりしんどくなってしまうのです。
たしかに世間では、「子育ての達人」たちから、楽しい子育て、ハッピー育児ライフをすすめられます。
ただ、それによって多くのアダルトチルドレンパパママさんが追い詰められているのです。
アダルトチルドレンを悩ます「ナチュラル義務感」
アダルトチルドレンパパママさんは、「楽しい子育て」「ハッピー育児ライフ」を目指すと苦しくなります。
なぜなら、あらゆることが「義務」に感じられてしまうから。
本当にごく自然に「義務」だと感じられてしまう。
いわば「ナチュラル義務感」です。
それは、目指すものが楽しいことや幸せであっても同じこと。
楽しい子育てを目指せば「楽しくなければならない」と義務感が湧いてくる。
ハッピー育児ライフを目指せば「幸せでなければならない」と義務感が湧いてくる。
まったく自覚できないくらい自然にそう考えている。
だから気づかぬうちに、どんどん苦しくなっていく。
しかも、アダルトチルドレンは、ただでさえ楽しさや幸せを感じることが苦手。
つまり、もともと苦手なことを、上手にしなければならないという二重のしんどさを抱えるはめになってしまうのです。
夜泣きで眠れなくても、自分の時間がまったく取れずにストレスがたまっても、生意気な暴言を吐かれても、
「楽しくなければならない」
「幸せだと思わなければならない」
と無自覚のうちに無理やりそう考えている。
だから苦しくなる。
アダルトチルドレンパパママさんは、「楽しい子育て」「ハッピー育児ライフ」を目指すと苦しくなってしまう方が多いのです。
子育ての「スタンダード」をちょっとズラしてみると・・・?
とても大切なことなのでくり返しますが・・・。
楽しさを感じちゃいけないわけではない。
ハッピーになっちゃいけないわけではない。
それどころか、あなたにはどんどん楽しい思いをしてほしいし、幸せを感じたなら、とことんそれを噛みしめてほしい。
でもね・・・。
それを「スタンダード」だと考えたら苦しくなる。
楽しくなくちゃいけない、ハッピーじゃなくちゃいけないって、「ナチュラル義務感」が湧いてくる。
楽しい状態以外は失敗であり、ハッピー以外は劣っていることになる。
その義務感を自覚するのも難しいし、自覚できたとしても、そうかんたんに抑えられるものでもない。
それこそがアダルトチルドレン。
ではいったい、どうしたらいいのでしょうか?
まずは、子育てはアダルトチルドレンにとって、猛烈にたいへんなことばかりでるという「事実」を認めましょう。
子育てはアダルトチルドレンにとって、苦手なことのオンパレードだという「事実」を認めましょう。
それを「スタンダード」だと考えましょう。
そうすれば、ほんのちょっとの楽しさも、すごく得難いものになる。
ほんのちょっとのハッピーも、とてつもなく貴重なものになる。
そして、猛烈にたいへんで苦手なことのなかで、その楽しさやハッピーを感じられた自分を、素直に認めてあげやすくなるのではないでしょうか?
その心の余裕は、そのままお子さんに返っていきます。
なんだかすごくたいへんそうだけど、小さなことでよろこびを噛みしめているパパママを見たら、お子さんもきっと気もちが楽になるはずです。
私はそんなふうに考えて、子育ての「スタンダード」を世間とちょっとズラしています。
やっぱり、アダルトチルドレンの「ナチュラル義務感」は本当にやっかいですからね。
あなたほどの「子育ての達人」はいない
せっかく楽しさや幸せを感じても、それが「スタンダード」だと思っていれば、その価値は半減してしまうでしょう。
だから「スタンダード」の位置を変えましょう。
別に下げるわけじゃない。
アダルトチルドレンの「スタンダード」は、世間と「ズレてる」だけです。
どっちがいいとか悪いとかじゃなく、自分に合っているものを「スタンダード」だと考えればいい。
世間には脳の使い方を変えれば楽しくなるとか、使う言葉を変えればハッピーになるとか、いろいろなことが言われています。
そしてそれができるなら、本当に素敵なことだと思います。
でも、アダルトチルドレンはそうはいかない。
そうかんたんに、楽しさも幸せも感じられない。
だからこそ、楽しさと幸せの価値がわかる。
それがいかに貴重なものなのかがわかる。
アダルトチルドレンだからこそ、楽しさと幸せがどれほど得難い宝なのかが実感できるのです。
その貴重な宝を、猛烈にたいへんで、とことん苦手な子育てのなかで感じられたのなら。
あなたはものすごい偉業を達成しているということ。
お子さんを思うあなたの愛が、どれほど大きいのかを証明してみせているということなのです。
こんな話、世間で言ってもポカンとされるだけでしょう。
あなたのその偉業に気づける人もほとんどいないでしょう。
でも、たとえ誰も認めてくれなくても、私は知っています。
あなたほど子育てと真剣に向き合っている人はいない。
あなたほどの「子育ての達人」はいない、と。