「我が子へのマナー」第17回

綺麗な湖のほとりを笑顔で手をつないで歩く母親と息子

今日は、一つの物語を一緒に見ていきませんか?

アダルトチルドレンママ「彩さん」が、我が子との絆を取り戻す物語です。

その物語を読みながら、あなたの中にどんな感情が芽生えているのか。

それを感じ取るレッスンです。

そこには「正解」も「不正解」もありません。

共感したり感動しなければいけないわけではありません。

キレイゴトだと思ってもいいし、反感を覚えてもいい。

もちろんつらくなったら、読むのをやめてもいい。

そんな自分の思いに、正直になるレッスンです。

今からご紹介するのは、登場人物も内容も架空のストーリーです。

どうぞ遠慮なく、ご自身の気もちに正直になってくださいね。

それでは、レッスンをはじめましょう。

序章: 破壊と再生の始まり

彩さんは、アダルトチルドレンだと自覚している女性です。

自身も親となりました。

彩さんの原家族は、父、母、そして彩さんという3人でした。

幼少期から家庭は不安定で、愛や温かさが欠如していました。

父は仕事に明け暮れ、母は精神的な問題を抱えていました。

幼い彩さんは、常に孤独感と無力感に苛まれていました。

そして成長するにつれ、家庭の状況はますます悪化していきました。

両親の争いや暴力は日常茶飯事であり、彩さんは恐怖と混乱の中で育ちました。

愛されることを願いながらも、それは叶わぬ遠い夢のように感じられました。

年齢を重ねるにつれ、彩さんは自己防衛のために心を閉ざし、感情を抑えるようになりました。

自己否定と自己批判が支配し、アダルトチルドレンとしての苦悩は深まる一方でした。

しかし、彩さんの人生には転機が訪れました。

結婚し、自ら家庭を築くことで、息子を授かり、新たな家族ができたのです。

それは、彩さんにとっての再生の兆しでした。

「愛」「絆」「尊重」という原家族にはなかったものがあり、彩さんは親として自己の成長と癒しを感じていました。

彩さんの人生が生きづらくなった理由は、原家族の環境と経験にあると、彩さんは考えていました。

そこでは愛も絆も尊重も失われ、心に傷が刻まれました。

そしてその過去が、彩さん自身の子育てのに影響を与えたことは否定できないと感じる日がやってきました。

絆の崩壊: 暗闇からの新たな旅立ち

彩さんはやがて、自分の子供に対するストレスをコントロールできない自分に気がつきはじめました。

それは、親子の絆を断ち切るほど深刻で破壊的なこともありました。

子供に暴力を振るうことはなかったけれど、気がつくと暴言をぶつけてしまう。

物を壁に投げつけて、怒りを表現することもありました。

委縮していた子供も、思春期を迎える頃には、反撃に転じてきました。

家庭は常に緊張と不安に包まれ、温かさは存在せず、代わりに争いが支配していました。

彩さんの子供も、このような環境で育つことによって、心の安定を失い、愛の欠如による深い傷を負いました。

彩さん自身の心の中にも、不安と孤独が広がり、暗闇に包まれていきました。

そして、その闇の中で、彩さんは再び孤独な旅に出ることとなりました。

自己防衛のために心を閉ざし、感情を抑えることが彩さんの生きる道となりました。

「あの頃と同じだ・・・」

周囲の理解や支えが欠けた日々。

どうして・・・、せっかく新たな家族と幸せを手にしたと思ったのに・・・。

そんな内なる叫び声が響き渡る毎日を過ごしました。

それは、愛と絆と尊重を求める心の叫びであり、誰かに理解され、受け入れられることを願う声でした。

しかし、その孤独な旅の中で彩さんは覚悟を決めました。

過去の苦悩や傷に立ち向かい、子供の幸せな未来を築くために戦う覚悟です。

勇気のシンボル: 一筋の光

温かな日差しの中、手をつないで笑顔で歩く母親と息子

アダルトチルドレンの子育ての旅は困難です。

ときには、挫折や絶望に苦しむこともありました。

しかし、そのなかで彩さんは「勇気のシンボル」と出会いました。

そのシンボルは、一筋の光を放ち、暗闇の中に輝きをもたらしました。

彩さんはその光に導かれ、新たな力を得ることができました。

そのシンボルとは、子供と初めて手をつないで歩いたときの、その手の「温もり」の記憶でした。

ふとその場面を思い出したとき、彩さんの心にとても強く温かな灯がともったのです。

これほどの幸せを与えてくれた息子に、なんとしても報いなくてはと。

そして、もう一度、あの幸せな日々を取り戻そうと誓いました。

いえ、子供の未来のために、取り戻さなければならないと覚悟を決めたのです。

勇気のシンボルは、彩さんに希望を与えるだけでなく、内なるエネルギーを呼び起こす力も持っていました。

それは彩さんの心を震わせ、感動と感謝の念を生み出しました。

そのシンボルが彩さんに与えた勇気は、彩さんの中に眠っていた成長と癒しの力を、なんどでも目覚めさせるのです。

その一筋の光は、彩さんの過去の記憶との格闘への原動力ともなりました。

今の家族との絆を取り戻すための、力強い一歩を踏み出させてくれました。

勇気をもって自分自身を受け要れ、自己愛を健全に育むことで、彩さんは子供と余裕をもって接することができるようになりました。

息子との絆の崩壊からの再生を果たす道筋が見えたのです。

その道筋を支え、彩さんの内なる叫びに寄り添ってくれたもの。

それが、勇気のシンボル。

まだ幼かった息子がくれた温もりの記憶。

それは我が子からの、最高の贈り物だったのです。

愛の探求: 癒しと成長の旅

自己受容と健全な自己愛の成長。

それを目指す過程で、彩さんは、自分の価値を感じる力や自己愛が、信じられないほどかけていることを痛感しました。

それでも彩さんは、いろいろな方法に挑戦しました。

心理療法やカウンセリング、マインドフルネスなど、あらゆる道を探求しました。

合うものもあれば、合わないものもあった。

新たな傷を負うこともあった。

それでも彩さんは、勇気のシンボルを胸に、ひたすら挑戦をつづけました。

ときには過去の記憶が押し寄せ、涙が溢れてくることもありました。

しかし、それは彩さんの成長と癒しのために欠かせない過程であり、諦めることはありませんでした。

それが、息子との絆を取り戻すために、どうしても必要だと直観していたからです。

そんな彩さんの必死な姿に、息子もやがて同調するようになりました。

なぜなら、息子もアダルトチルドレンとしての苦しみを味わい、学校や集団の中でうまく振舞えず、つらい思いをしていたからです。

二人はいつしか、共感し合える良き理解者となっていました。

それは、彩さんがアダルトチルドレンだったから得られた、深い相互理解。

アダルトチルドレン親子だからこそできた、強いつよい絆でした。

息子への罪悪感で押しつぶされそうになる夜もある。

自分には子供を授かる資格も、育てる資格もなかったと後悔することもなんどもある。

それでも・・・。

こうしてそばにいてくれる息子のために、自分は絶対に幸せになろうと誓った。

幸せな自分になってはじめて、我が子を幸せにできるのだから。

自分のためではなく、この子のために幸せになろう。

勇気のシンボルを与えてくれた、かけがえのないこの子のために・・・。

いかがでしたでしょうか?

公園を手をつないで歩く母親と息子の後ろ姿

「勇気のシンボル」。

幼い我が子がくれた温もり。

あなたには、そんな「幼いお子さんとの温かい思い出」はありますか?

あなたはこの物語のどの場面で、どんなことを感じたでしょうか?

その感情や思いを、ぜひノートに書き留めておいてください。

そうして、あなたの心の輪郭を少しずつ浮き彫りにしていってください。

自分を知ること。

アダルトチルドレンパパママさんが心の余裕をもつためには、それがどうしても必要なのですから。

どうぞこのコラムを、そのきっかけの一つにしてもらえたらうれしいです。

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