「我が子へのマナー」第18回

ガチャガチャをしたがる子供


子供は「ガチャガチャ」が大好きですよね。

しかもいたるところにあるので、親は、

「ガチャガチャしたい!」

という子供への対処に苦労する日々を送ります。

安いものも多いから、やらせてあげることはできます。

しかし一度やったからといって満足するはずがない。

次の日もまたやりたがるのは目に見えている。

キリがない。

終わりなき「ガチャ」への欲望。

エンドレス「ガチャ」。

さらにやっかいなのは、やっても、その景品では遊ばない。

やらせてもらって「はい満足」で結局お金の無駄遣い。

だから「同じことをしたら次はできないよ」と言っても効果なし。

一緒に街に出ると、また、

「ガチャガチャしたい!」

がはじまり、対応に苦慮するのです。

アダルトチルドレンパパママが「ガチャガチャしたい!」に苦慮する心理

ご自身をアダルトチルドレンだと自覚している親御さんは、この「ガチャガチャしたい!」にとくに苦慮します。

理由は二つ。

一つは「今はダメ!」「昨日やったでしょ!」という、有無も言わさず禁止するという「親の必殺技」を使えないからです。

それを使おうものなら、自分の子供の頃に受けた仕打ちと重なり、

「厳しすぎたんじゃないだろうか?」

「子供を委縮させてしまったのではないだろうか?」

と延々と心配になってしまいます。

それを「ガチャガチャしたい!」と頻繁に言われるたびにしていたら、身がもちません。

二つ目の理由は、アダルトチルドレンパパママは、ルールを決めるのが苦手だからです。

有無も言わさず禁止できないのなら、ルールを決めればいいだけ。

ハタから見ていればそう思うでしょう。

しかし「自由に育てなきゃ症候群」に陥りがちなアダルトチルドレンパパママにとってそれは一大事業。

とても難しいことなのです。

なぜならルールを決めることで、「子供の自由を奪ってしまったのではないか?」と、深く頭を悩ますことになるからです。

アダルトチルドレンパパママさんにとって、子供の「ガチャガチャしたい!」は、思いのほか対応が難しい問題なのです。

「ガチャガチャしたい」が、ただの「買ってぇ~」よりやっかいな理由

パチンコをやってよろこぶ幼児

「ガチャガチャしたい!」は、子供の「買ってぇ~!」を防ぐ方法が効果を発揮しづらいジャンルでもあります。

なぜなら子供は、買いたい欲求にかられているのではないから。

ガチャガチャのハンドルをひねりながら感じる「どの景品が出てくるか?」というワクワクにハマっているから。

さらにその景品が自分の望みどおりのものだったときの、あのよろこびを欲しがっているからです。

じっさいに、私が子供のころに流行った「ガンダム消しゴム」や「キン肉マン消しゴム」を、ガチャガチャから出してバラで売っている駄菓子屋さんがありましたが、みんながそこに殺到したかというと、そうでもありません。

私も含め、わざわざガチャガチャをやる子が多かったのです。

つまり子供は、ほとんどガチャガチャのギャンブル性と偶然の出会いにハマっているのであり、景品を使うか使わないかは、最初からあまり関係ないのでしょう。

「ガチャガチャしたい!」は「パチンコさせてくれ!」と言われているようなものだと考えた方が、わかりやすいのかもしれません。

ただ幸い、パチンコほどの吸引力はないので、ぜんぜん対処のしようがあります。

次に、その具体的な対処法をご紹介します。

【対処法】「ガチャガチャ専用おこづい制」を導入する

我が家とご相談者様のご家庭でうまくいったのが「ガチャガチャ専用おこづかい制」です。

毎月400円、おこづかいをあげる。

それを「ガチャガチャ」にだけ使っていいことにするのです。

小学校1年生、数字に強いお子さんであれば年長さんから導入が検討できます。

親子ともに安心できるように、5つのルールを設定します。

1.ガチャガチャ以外には使えない

2.ガチャガチャするときは必ず親と一緒に

3.おこづかい帳をつける(簡単な出納のみ)

4.毎月使い切る(余りは取っておけるがハナから貯金してはいけない)

5.3ヶ月上手に使い切れたら翌月からおこづかいが増える(上限金額は各ご家庭ごとに)

この方法でガチャガチャしたいという欲求を満足させつつ、お金を上手に使うスキルを身につけることができます。

親子三人でお小遣い帳を広げ、お小遣いを受け取る子供

最近のガチャガチャは、1個で400円とかするのもありますから、慎重に選ばなければ、おこづかいを最大限に生かせません。

子供はかなり真剣にガチャガチャを選ぶようになります。

もちろん、さっさと使ってしまって「もっとおこづかい頂戴!」とせがんだ時点でNGです(笑)

ただ、我慢させるのが目的ではないので、四半期のおこづかいを上手に使い切れたら、翌月はおこづかい100円アップです。

ご褒美としてではなく、「あなたにはお金を使うスキルがある、だからもっとおこづかい受け取る資格がある」という理由をしっかり伝えましょう。

一人前扱いすることがコツです。

そんなに与えて大丈夫と思われる方も多いです。

たしかに、心配ですよね。

ただ、結局計算すると毎月ガチャガチャに1,000円以上使っているご家庭も少なくありません。

そう考えたら、それを使うタイミングを自分の意志で選び、お金を上手に使うスキルが身に着く方が、お子さんのためにもなるのではないでしょうか。

「ガチャガチャ専用おこづい制」の結果は2パターンに分かれる

「ガチャガチャ専用おこづい制」を導入した結果、子供が「ガチャガチャしたい!」と言わないようになっていくことが期待できます。

ただ、そう言わなくなる理由は、主に二つのパターンに分かれるのです。

これがなかなか興味深い。

一つは「景品を大事にするようになる」というパターンです。

自分のおこづかいで手に入れたガチャガチャの景品。

今までは、家に着いたら景品を放り出していたようなお子さんも、しっかりその景品で遊ぶようになる。

一つのおもちゃでたくさん遊ぶスキルが身に着く。

その結果、ガチャガチャをたくさんやる必要がなくなる。

自然とそんなにガチャガチャしたくなくなるのです。

このパターンのお子さんは、上手におこづかいを使いつづけます。

もう一つのパターンは「ガチャガチャの価値を感じなくなる」というパターンです。

これは、景品自体にじつはそんなに興味はもっていなかった自分に気がつくというケースです。

せっかく自分のお金を使って手に入れたのに、部屋に転がる無数の景品。

そんなに欲しくないもののために自分のおこづかいを使っていたのか・・・とさすがに気がつく。

そうしてガチャガチャ自体に興味がなくなっていく。

それどころか「おこづかい」のことすら忘れてしまう子もいます。

お金を使う意義や、物の価値に気がつくことができたということなのでしょうね。

「ガチャガチャ専用おこづい制」で親子のスキルアップ!

ガチャガチャの景品を手もち笑顔で微笑む日本人の母親と娘

「ガチャガチャ専用おこづい制」は、お子さんのお金を使うスキルを向上させます。

また、親御さんにとってもっとも重要な「見守る」というスキルも向上させてくれます。

だから、お子さんがおこづかいを使うときには、口出しせずに、黙ってお子さんのやりたいようにやらせてみましょう。

ここで「数百円規模の失敗」を安全に重ねておけば、将来の大規模なお金の失敗を防いでくれる。

そんなふうに考えてみると、アドバイスや注意も飲み込めるかもしれません。

それは、私たち親の大切なスキルアップにもつながるのです。

おすすめの記事